読解問題には、読み方・解き方がある!
なんとなく読み、なんとなく解くことをやめて、論理的な解法を習得してください。
わかりやすい文章の書き方を知っていますか?
作文と小論文の違いがわかりますか?
上手に書くためのコツを学びましょう!
苦手な方歓迎!古文・漢文が、最短時間で、正しく読めるようになるために。文法の知識と読み方とを丁寧に解説します。
慣用句や四字熟語はもちろん、和歌・俳句から文学史まで。国語に関して知っておきたい知識を、わかりやすくまとめてあります。
●国語以外もお任せ下さい!優秀な講師陣が全教科に個別で対応する「フィロソフィア寺子屋教室」も運営しております。
●小論文の持ち込み歓迎!通常授業に通えない方や、短期間で臨時に対策を必要とする方に、個別で小論文指導をします。
●一般向け講座、講演会、セミナーも実施!地域における学術・文化の拠点として、開かれた私塾を目指します。
文章の理解は、論理関係を意識しながら読むことで深まります。
その方法の一つとして、ここではイコール関係を意識した読み方を説明します。
イコール関係とは、言い換えのことです。
文章を読みながら、「つまりどういうこと?」と自問し、
書かれている内容を別の言葉で言い換えて説明しようと試みてください。
これは一文レベルでも、段落レベルでも取り組むことができます。
まずは次の一文を例に考えてみましょう。
国民とは日々の人民投票である。
国民が人民投票であるとはどういうことか、すぐには理解しにくいはずです。
このように、一文自体が比喩的であったり、抽象的であったり、まわりくどかったり、
要するに間接的な表現である場合、それを直接的な表現に言い換えてみることが非常に重要です。
この作業を怠ると、理解があやふやなまま文章を読み進めることになり、
あやふやな理解が積み重ると、読解は必ず頓挫します。
さて、通常、一つの文は他の文と関係を持ち、何らかの文脈のもとで意味を持ちますから、
一文の意味を正しく言い換えるためには、文脈や他の文との関係を考慮する必要があります。
先に紹介した一文は、エルネスト・ルナンの「国民とは何か」と題された講演における有名な一節です。
講演全体の論旨を踏まえると、一文は次のように言い換えることができます。
国民は、種族や言語や宗教や地理的条件に基づくのではなく、
特定の地域に住む人々が同じ国で共同生活を続行しようと合意することで形成される。
これは正確な言い換えですが、正確さを重んじたがゆえに、少々長くて難しくなってしまいました。
正しく理解するためには、このような厳密な言い換えを試みることが不可欠ですが、
一方で、単純化した言い換えによって大筋を理解しておくことも、同じく大切です。
国民っていうのは、自然な存在じゃなくて、みんなで一緒に暮らそうと望むことで成立するのだ。
このように、厳密なレベルでの言い換えと、単純なレベルでの言い換えを、
同時にあわせもつことで、理解は正確かつ明快になります。
そのためには、「つまり?」「要するに?」「どういうこと?」と、
繰り返し自問することが欠かせません。
問いを投げ続けることで、文章の理解は深まっていくのです。
問いが発せられないと、読む作業は極めて受動的なものにとどまり、
曖昧な理解が曖昧なままに放置されます。
読むという営みは、そのような消極的なものではなく、
積極的に問いを発し、文章を整理し、組み換え、
目の前の紙面に書かれた言葉よりも
はるかに膨大な数の言葉を脳内にあふれかえらせる行為なのです。
難解な一文を言い換えることと同様に、
ひとつの段落や文章全体についても、
言い換えを試みることを忘れてはなりません。
段落を通じて要するに何が言われているのか、
文章全体を通じて結局言いたいことは何なのか、
それを正しくつかむことは、
段落全体、文章全体の言い換えの作業をすることと同じです。
段落や文章のまとまりを確認するたびに、
「ここまでの内容は要するに・・・」と立ち止まって言い換えを試みてください。
ある程度の量の文章を、なるべく短く、かつ正確に言い変えようとするのです。
難解な評論を読む場合は、その言い換えを簡潔にメモしてみることも大切です。
そのような作業を積み重ねていけば、文章全体を読み終えたあとに、
結局全体を通じてどのような話が展開されていたのかがとらえやすくなるはずです。
たった一文でも、あるいは文章全体でも、
読むときには文章の流れにそのまま身を任すのではなく、
立ち止まって問いを発して言い換える作業を積み重ねていくことが大切です。
文章の内容が正しく理解できていれば、
それを別の言葉に言い換えて説明することができます。
逆に言うと、正しく言い換えることができない場合は、
内容の理解が十分にできていないはずです。
そのような場合は、言い換えができるようになるまで、
何度も文章を読み返して理解の度合いを高める必要があります。
言い換えができるかどうかを試すことで、
自分の理解の度合いを確かめることができますし、
言い換えの作業自体が、内容の理解を深めることにつながるのです。
「つまり?」
「要するに?」
「どういうこと?」
文章を安易にわかろうとせずに、
あるいはわかることに投げやりにならずに、
素朴な問いかけをしつこいぐらいに投げかけ続け、
自問自答を繰り返しながら積極的に言い換えの作業を試みてください。
わかる喜びや読む喜びとは、そのような能動的な知性の働きから生み出されます。