読解問題には、読み方・解き方がある!
なんとなく読み、なんとなく解くことをやめて、論理的な解法を習得してください。
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前回はイコール関係について説明しました。
AとBという2つのものがあるときに、
A=B
と整理してとらえるのがイコール関係です。
逆に、
A←→B
ととらえるのが、対立関係です。
事柄や概念は、別のものと対比させてみることで、理解がしやすくなります。
「兄」は「弟」と異なり、「犬」は「猫」と異なり、「学校」は「塾」と異なります。
異なるものと対比することで、
「兄」や「犬」や「学校」の概念が持つ独自の特性が明らかになります。
このように対立関係に基づく整理は、物事を理解する際、説明する際に、
日常的に頻用される手法であり、難解な評論においてもそれは同じです。
評論において対立関係が設けられているとき、
それを示す論理記号(論理関係を示す用語)には、たとえば以下のものがあります。
しかし だが けれども 一方 他方 これに対して これとは違って
読解においては、これらの用語を目印に、
何と何が対比して論じられているのかを正確に読み取ることが大切です。
とりわけ中心テーマが何と対比されているかを整理することは、
文章の正しい理解のために不可欠な作業です。
このときにさらに重要なのが、
両者の相違点が何なのかを明確化させることです。
AとBとが対比されていたら、
ただ違うものだととらえるのではなく、
両者がいかなる点で異なるのかを明確に理解する必要があります。
たとえば先ほど、「兄」という概念を一例に出しましたが、
これが「弟」と対比される場合、
両者は年齢が上か下かという相違点を持っているわけです。
しかし「兄」を「姉」と対比すれば、
相違点の内容は変化し、男女の違いになります。
つまり「兄」という概念は、
「弟」との対比においては「年上」であるという特性が強調され、
「姉」との対比においては「男性」であるという特性が強調されるのです。
このように、事物や概念は、対比させるものによって見え方や特徴が変化し、
同じ概念をテーマにしても、どのような対立関係を設けて論じるかによって、
議論はまったく異なった様相を呈します。
対立関係に注目することの重要性はここにあります。
あるテーマや概念が何と対比されて論じているかということ自体の中に、
実はすでに論者の主張は隠されているのです。
「日本」を「西欧」と比べる論者は、日本の近代化に付随する困難を指摘したいのかもしれませんし、
日本文化の魅力を讃えたいのかもしれません。
「日本」を「アジア」と比べる論者は、アジアの中での日本の先進性を主張したいのかもしれませんし、
大陸と海で隔てられた島国である点に日本の独自性を見たいのかもしれません。
「日本」が何なのか、それは対比するものとの関係性によって決まるのであり、
論者が「日本」の対立物として何を採用したかという点に、
その論者の姿勢と議論の方向性とが示されています。
対立関係を整理することで、文章における肝心の主張がつかみやすくなります。
中心となるテーマや概念が、何と対比され、どのような相違点を持つか、
それを明確化しながら文章を読み解くことを意識してみてください。