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正しく理解するためには、論理的に読む必要があり、

論理的に読むとは、言葉のつながりを意識して読むことだと

前回の記事で申し上げました。

 

では、言葉のつながりを、具体的にどのように意識すれば良いのでしょう?

実は、ことばのつながり方には決まったパターンがあります。

少なくとも、文と文、文章と文章のつながりについては、

以下の4つの論理関係に単純化して整理することができます。

 

(1) イコール関係

(2) 対立関係

(3) 因果関係

(4) 付け足し関係

 

イコール関係とは、言い換えのことです。

複雑なことを別の言葉で言い換えたり、

抽象的な事柄の具体例をあげたりするとき、

文章同士はイコールの関係でつながっています。

 

対立関係とは、あるものを別の何かと対比することです。

何らかの主張を持つ文章においては、

異なるものと対比しながら論点を明らかにしていくことがよくあります。

 

因果関係とは、原因と結果、理由と主張の間に成り立つ関係です。

ある主張がなされているとき、その主張を成り立たせる理由が何なのかを意識することは、

文章を読む際にも書く際にも、最も重要な作業です。

 

付け足し関係とは、新しい情報を追加することです。

前に述べたことがらに、新たなことがらが加わって文章の内容は膨らんでいきます。

文章の中で最も多く見られる関係です。

 

こうした4つの関係を意識して文章を読むことで、

内容が整理されて、理解がしやすくなります。

たとえば、ここまで書いてきた記事は、

どのような論理関係で成り立っていたのでしょうか。

細かく分析するときりがないのですが、

大きく見るなら、まず、前回の記事における主張を要約しました。(イコール関係)

次に、言葉のつながりをどう意識するかという問題提起を加え、

4つの論理関係があるという情報を提示しました。(付け足し関係)

そのあとで、それぞれの関係がどのようなものなのか、簡単な説明をしました。(イコール関係)

 

このように、無意識で読み進めた文章も

論理関係を意識しながらもう一度読み返してみると、文章の理解がより明確なものになります。

また、論理関係を意識して読むことで、主張の適切さが判断しやすくなります。

再びこの記事でいうならば、最も肝心な主張は「論理関係が4つに単純化できる」ということですが、

その論拠が実は示されていません。

なぜそう言いうるのかの説明がなく、一つの定まった答えのように主張が提示されているだけです。

因果関係を意識すれば、当然、「本当に論理関係は4つに単純化できるのだろうか?」という疑問が

出てくるはずですし、そのような疑問を出すことこそが、論理的に読むという営みそのものです。

 

さて、このように書いてしまった以上、論拠についての説明なしにはすまされなくなってしまいました。

これは論理関係の様々な書物に基づきます。

「論理」という言葉は使い古された感すらあり、

すでに多くの学者や教育関係者が、論理関係の説明をする際に、

似たようなことを述べています。

それらの本のもはや古典とも言えるものに、野田茂樹『新版 論理トレーニング』(産業図書)があります。

大変読みやすく、面白く、勉強になる本ですが、

この中でも、「重要な論理関係」として、上記の4つを(少し呼び方は違いますが)挙げています。

 

ただし、一文レベルでの単語と単語のつながりや、文節同士のつながりを分析する場合は、

上記の4つの概念では対応しきれなくなります。

また、文章を分析する際でも、緻密な分析をするには、より複雑な関係性を意識する必要があります。

 

とはいえ、大まかに文章の整理をするには、この4つをす意識するだけでも十分に有効です。

何よりも、たったの4つの概念に絞ることで、論理関係の分析が簡便になるはずです。

ざっと読んでわかった気がした文章も、

この4つの関係を意識しながら一度読み返し、内容を整理してみてください。

目の前の文章が、最初に読んだときは違う姿を見せてくれるはずです。

 

 

 

 



投稿者: フィロソフィア国語教室 カテゴリー: タグ: 投稿日時: 2014年10月22日 02時20分