読解問題には、読み方・解き方がある!
なんとなく読み、なんとなく解くことをやめて、論理的な解法を習得してください。
わかりやすい文章の書き方を知っていますか?
作文と小論文の違いがわかりますか?
上手に書くためのコツを学びましょう!
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宮前教室の鈴木です。
前回の続き、精読教室の紹介をします。
教材は、芥川龍之介「蜘蛛の糸」。
語句の意味を一つずつ確認して丁寧に読んだあとは、いよいよ記述問題に取り組みます。
地獄にいる大泥棒の陀多(かんだた)は、
遠い遠い天上から、一すじの蜘蛛の糸が自分の上へ垂れてくるのを発見します。
この糸にすがりついてのぼっていけば、きっと地獄から抜け出せる。
これ以上苦しまずにすむことを喜んで、早速糸をのぼっていく場面です。
この分でのぼって行けば、地獄からぬけ出すのも、存外わけがないかも知れません。
陀多は両手を蜘蛛の糸にからみながら、ここへ来てから何年にも出した事のない声で、
「しめた。しめた。」と笑いました。
ところがふと気がつきますと、蜘蛛の糸の下の方には、数限もない罪人たちが、
自分ののぼった後をつけて、まるで蟻の行列のように、やはり上へ上へと
一心によじのぼって来るではございませんか。
陀多はこれを見ると、驚いたのと恐ろしいのとで、しばらくはただ、
ばかのように大きな口を開いたまま、眼ばかり動かして居りました。
自分一人でさえ切れそうな、この細い蜘蛛の糸が、どうしてあれだけの
人数の重みに堪えることが出来ましょう。
もし万一途中で切れたといたしましたら、折角ここへまでのぼって来た
この肝心な自分までも、元の地獄へ逆落としに落ちてしまわなければなりません。
そんな事があったら、大変でございます。
【問題】 傍線部「眼ばかり動かして居りました」とあるが、このときのかんだたの気持ちを、
わかりやすく説明しなさい。
かんだたの心情を読み取るポイントは、傍線の直前にある「驚いたのと恐ろしいの」です。
この気持ちを押さえたのち、何に驚き、何を恐ろしいと思ったのか、それぞれ説明していきます。
まず、驚いた内容については、「陀多はこれを見ると、驚いたのと恐ろしいので…」と書かれていることから、
「これ」に驚いたことが分かります。
「これ」=多くの罪人たちが蜘蛛の糸をよじのぼってくること、です。
次に、なぜそれが恐ろしいのか、考えます。
ただよじのぼってくることが恐ろしいのではありません。
理由は、傍線部の直後に書かれています。
蜘蛛の糸が大勢の重みに耐えかねて切れてしまったら、自分はまた地獄に落ちてしまうから、です。
そうなってしまうことを、恐ろしく思っているわけです。
以上をまとめると、こんな解答になります。
【解答例】自分がのぼったあとをつけて、数多くの罪人たちが蜘蛛の糸をよじのぼってきていることに驚き、
人数の重みにたえられず糸が切れ、自分も元の地獄へ落ちてしまうことを恐ろしく思う気持ち。
授業では、生徒各自が解答をノートに記入し、添削を受けます。
生徒たちは、解答を作る際、手がかりとなる部分に線を引いてから、その要素をまとめる練習をしています。
添削の際は、一人一人に対して足りない部分を導きだせるようなヒントを出し、
じっくりと過不足のない答案を作り上げていきます。
この問題では、特に「何を恐ろしいと思っているか」について記述するのを見落としがちです。
でも「何が恐ろしいんだろう?」と尋ねると、多くの子が答えることができ、
その内容も本文中にしっかりと書かれていることに気づきます。
ただ読むだけでなく、記述問題を通して、人物の心情や表現の意味を考えること。
それは、本文を根拠にした正確な読解の練習にもなりますし、
的確に表現する力を鍛えることにもなります。
そして、読みが深まり、より物語を味わうことにもつながります。
生徒により読解のレベルは異なりますが、その生徒なりに指摘に納得し、
頭をフル回転させながら、何度もノートに解答を書きなおしている姿に、
いつも気が引き締まる思いです。
宮前教室では、
土曜日16時~18時の精読・作文教室の生徒を募集しています。
体験授業も承っております。ぜひご応募ください!